「靴下の痕」は心不全の恐れ。危険な4つの症状と疑われる疾患
心臓・血管の病気の専門医が明かす病の真実-⑤
■「靴下の痕」がついていたら心不全の恐れ
もっとも危険な症状が失神なら、二番目に危険な症状は「靴下の痕」です。足首に靴下の痕が残っていたら、心臓が危険な状態かもしれません。
靴下の痕がいつもよりくっきり残るのは、脚がむくんでいるためです。
なぜ脚がむくむのでしょうか?それは、尿を作っている腎臓の機能が低下し、水分を十分に排出できなくなっているためです。
そして、腎臓の機能低下の原因が心臓にある場合は少なくありません。心臓が不調になる「慢性心不全」によって腎臓に十分な血流が行かず、腎臓の機能が低下するのです。
心不全という言葉はよく聞くと思いますが、ひとことで言えば「心臓が不調になり、十分な血液を送り出せていない状態」になることです。
一般的な心不全のイメージは、ある日突然「うっ」と胸が苦しくなる……というものだと思いますが、これは「急性心不全」です。心不全には急性のものとは別に徐々に悪化する慢性心不全があり、むくみを引き起こすのは慢性心不全の方です。ただし、慢性心不全になれば必ずむくみの症状が現れるとは限らないので注意してください。
このように慢性心不全を原因としたむくみがあるのですが、もちろん、心臓に問題がなくても腎臓の機能が低下して脚がむくむことはあります。
しかし、慢性心不全の患者さんには息切れなどむくみ以外の症状も現れますから、区別は難しくありません。息が切れるようになったり階段が上がれなくなるなど運動能力の低下と同時にむくみが見られるようになったら、直ちに循環器内科に行ってください。
慢性心不全によるむくみは、1週間から1カ月程度と心血管疾患にしては比較的長いスパンで悪化することが特徴です。数週間にわたってむくみ、息切れなど運動能力の低下、体内の水分量が増えたことによる体重増加などの症状が見られたら、必ず循環器内科に行きましょう。
また、やはり、心不全になると脈拍にも変化が見られます。心臓が、血液を押し出す力が落ちたことを脈拍を増やしてカバーしようとするため、脈拍が増加するのです。
- 1
- 2
KEYWORDS:
『心臓・血管の病気にならない本』
著者:山下武志
日本人の半数は心血管疾患で亡くなっている!
血液を綺麗にし、心臓を鍛えて、健康に長生きする方法とは?
日本人の死因2位・3位※を占める心疾患と脳血管疾患は、両者を足すと死因1位のガンに匹敵します。また日本人の9割は不整脈を患っているともいわれています。
しかし、心臓や血管の病気はガンとは異なりメディアの注目度は低く、一般の人々の知識は驚くほど不正確です。著者はかねてよりその状況を憂い、正しい知識の普及に務めてきました。「心臓と血管の病気は慢性病」「年間2万人が命を落とす危険な不整脈=心室細動」など、「長生きして健康でいる」ために欠かせない、おだやかな血液と余裕のある心臓を作る習慣を伝授します。
著者は日本一の「不整脈」の名医と言われ、これまでテレビ『NHK健康チャンネル』や『世界一受けたい授業』など多数のメディアに出演しています。
※2017年度・厚生労働省調べ
目次
第1章 心臓・血管の病気は怖くない
第2章 心臓・血管の病気はこうして起こる
第3章 誰も知らない不整脈の真実
第4章 余裕のある心臓とおだやかな血液を手に入れる
第5章 心臓・血管の治療を成功させる